ビール愛好家の方であれば、一度くらいて「ビールを自分で作ってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか?
でも、日本では法律で禁止されているという話も聞いたことがあるし、ちょと不安......。
実は、“ある条件”を満たす必要がありますが、日本でも自家製のビールを手作りすることが可能なんです!!
日本でビールの自家醸造は認められているの?
ご存知の通り、日本の酒税法では、製造免許を持たない者がお酒を作ることは禁止されています。
早々にビール醸造の夢が崩れた皆さん、安心してください。
そもそも”お酒”とは、アルコール度数が1%以上の飲料を指します。
第二条 この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。 出典:酒税法
つまり、アルコール度数が1%未満の飲料は、酒税法に抵触しないということになります。
そのため、日本ではアルコール1%未満のお酒だったら自家醸造してもOKという解釈になるのです。
手作りビールを自家醸造する際の注意点
日本では、1%以上のお酒の醸造は認められていないため、国税庁ホームページにもこのような記載があります。
酒類を製造する場合には税務署長の免許が必要となります。
酒類とは、酒税法上、アルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることのできるもの又は溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)をいい、当該製品により製造されたものがアルコール分1度以上の飲料となる場合は、酒類製造免許が必要になります。
ただ、ビールの製造免許は、年間の製造見込数量が60キロリットルに達しない場合には受けることができません。
購入された商品については、アルコール分1度以上にならないよう製造方法が取扱説明書に具体的に記載されていると思われますので、その注意書に沿って、アルコール分が1度未満となるようにしてください。酒類の製造免許を受けないで酒類を製造した場合は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるほか、製造した酒類、原料、器具等は没収されることになります。
出典:国税庁ホームページ
手作りビールに挑戦する際には、キットを購入した上でしっかりと説明書を読み、1%未満になるよう、アルコール度数に十分注意してください。
手作りビールの作り方
自家製の手作りビールを作る際に用意するものは、以下の3つです。
発酵タンク
温度計
保存用の瓶
ビール作りの手順
難しそうに見えるビール造りですが、意外にも手順は簡単!!
以下では、ビールの作り方をざっくりと説明していきます!
1. 麦汁の仕込み
ビールを作るのに使用する器具はすべてアルコールで殺菌します。発酵タンクや鍋を消毒していきます。
大きな鍋で2ℓのお湯を沸かします。
沸騰したら火を止め、〈ビールの素〉を加えてよく溶かします。
ビールの素を溶かしたものをタンクに注ぎます。決められた量になるまで、水を注ぎます。26℃程度まで冷まします。
2. イーストの準備
液温が26℃程度になったら、タンクにイーストを振りかけます。
冬で気温が低い場合は、事前に予備発酵をします。コップにぬるま湯(30~35℃)を半分ぐらい注ぎます。そこにイーストを振りかけてラップをします。
3. 発酵させる
温度に気をつけながら、2週間ほど放置し、発酵させます。出来上がったら消毒した保存瓶などに小分けにして保存しましょう。
何よりも、アルコール度数が1%を超えないことが重要です。砂糖を加えないことで、アルコール度数の上昇を防ぐことができます。
手作りビールキットならもっと簡単
作り方は、沸騰したお湯に付属のビールの素を加え、タンクに注ぎ、イースト菌を添加して発酵させるだけで完成。
意外と簡単に自宅で作ることができます。
ラベルを作って瓶に貼って、世界に1つだけのオリジナルビールとして楽しんでいる方もいるそうです。
自宅で美味しいビールを仕込むコツは、消毒と温度管理に気を付けること。
他の菌が入り込まないように隅々までアルコール除菌し、決められた温度をしっかりと守りましょう。
また、キットに入っているマニュアルの「国内での仕込みかた」を参考に法律の範囲内で楽しんでください。
手作りビールの参考に!自家醸造について学べる本
「もっと美味しい手作りビールを造りたい」とこだわる方のために、手作りビールの解説書が販売されています。
手作りビールに関してより詳しく説明されているので、読んでみても面白いかもしれません。
もう少しビールについて知りたい、というビール好きな方にもおすすめ。
自分でつくる最高のビール
アドバンストブルーイング著「自分で作る最高のビール」は、写真や図解が多く初心者向けの手作りビール解説書です。
ビールの原料である、ホップの栽培方法にも書かれているので、ビールの勉強としても役立ちそうな1冊です。
クラフトビール フォア ザ ピープル ブリュードッグ流 あたらしいビールの教科書
スコットランドのクラフトブリュワリー「ブリュードッグ(BrewDog)」による最新刊です。
ビールの基礎知識はもちろん、おつまみ、デザートのレシピの掲載もあり、充実した内容です。
レシピ掲載もありますが、日本は1%以上のビールは法律で規制されているためご注意を。
世界に通用するビールのつくりかた大事典
キットを使用したビールレシピが多く掲載されている1冊。
プロのブリュワーまで参考になると言われているほど盛りだくさんの内容です。
プロの味に感服!自家醸造した手作りビールが飲めるお店
やはり、プロが作ったビールは一味違う!!
以下では、醸造免許を取得し、実際にBARで手作りビールを提供しているお店をいくつかピックアップしてご紹介します。
BEER KOBO
店内で醸造したビール数種を味わうことができます。
クラフトビール大国・アメリカの「ビールに旅をさせるな」という格言を創業者が具現化したんだそう。
オシャレな店内も人気な理由の1つ。
ミヤタビール
提供しているビールはその都度変わります。
何度通っても毎回楽しめそうなラインナップです。
カンピオンエール 浅草醸造所|浅草
浅草にあるのは、英国スタイルの自家醸造パブ「カンピオンエール」です。
タンクで醸造されたばかりの様々な種類のビールがグラスに注がれます。
インテリアは英国から取り寄せたそうで、本場英国パブの雰囲気を楽しむことができます。
まとめ
法律上の関係で、一般的に家でビールを作る人は少ないかもしれません。
しかし、上記のように法律を侵さない範囲でなら、特別な免許などがなくても自家製の手作りビールを楽しむことが可能なんです。
アルコール度数など、様々な制限がある中で、納得のいくビールを作るのは至難の技かもしれませんが、自分で作ったビールにならきっと愛着がもてるはず!
ビール好きの方は、法律を守った上で、自家製のビール作りを楽しんでみるのもいいかもしれませんね。