”世界の5大産地”としても挙げられるほど、世界的評価の高い日本のウイスキー。昨今、ジャパニーズウィスキーは特に注目を集めており、有名銘柄の「山崎」や「白州」などは私たち日本人であっても購入できないほど。
大手メーカー以外にも、注目を集めているジャパニーズウイスキーは多数存在します。埼玉県秩父市で生産される「イチローズモルト」もその1つ。その柔らかで奥深い味わいから、ウイスキーファンを中心に絶大な支持を集めています。
しかし、イチローズモルトがここまでの人気を獲得するのには、大きな苦労もあったそうです。
今回は、イチローズモルトの歴史や魅力について迫っていきます。
イチローズモルトとは?
イチローズモルトの代表的な商品といえば「イチローズモルト モルト&グレーン」でしょう。口に含むことで、蜂蜜のような甘さと華やかなフルーティーさが広がるこの芳醇さは、多くのウイスキーファンを虜にしました。色味はつやのある黄色。見た目も美しい、視覚でも楽しめるウィスキーとなっています。
そんなイチローズモルトには、他のジャパニーズウィスキーとは異なる大きな2つの特徴があります。
◆日本で数少ない地ウィスキー
国産ウィスキーの多くは、サントリーやキリンのような大手企業で作られています。それに対して、イチローズモルトは埼玉県の中小企業である「ベンチャーウィスキー」という会社が生産しているブランド。日本では珍しい「地酒」ならぬ「地ウィスキー」として扱われています。
◆ミズナラ樽を初めとした国産・地元へのこだわり
「ベンチャーウィスキー」では、国産・地元志向のウィスキー作りがされています。
例えば、ウィスキーを発酵させる発酵槽や熟成樽。これらの材質として使われているのは、日本古来から生息している「ミズナラ」という木。特にミズナラの発酵槽を使っているのは、世界でもこのベンチャーウィスキーだけであり、大変珍しいものになっています。
この他にもウィスキーの原料となる大麦は秩父産の物を使用していたり、大麦を乾燥させる泥炭も埼玉県の物を使用するなど、国産や地元にこだわってウィスキーを作成しています。
イチローズモルトの生産地「秩父蒸溜所」
イチローズモルトを生産する秩父蒸溜所は、2007年に肥土伊知郎氏によって設立されました。しかしこの蒸留所の設立までには長い道のりがあります。
元々、肥土氏の家は、地元で1625年から続く老舗の酒蔵「東亜酒造」を経営していました。しかし、父親の代で経営が悪化。会社は、他の酒蔵メーカーに買収されることになってしまったのです。
買収の際、ウイスキー作りからの撤退と同時に、”残っていたウィスキー原酒の廃棄”という条件が課されていたのだそうです。残っていたウイスキーの原酒は、400樽相当にもあたるほど膨大な量だったと言われています。。
ウイスキーの廃棄に反対した肥土氏は、ウィスキーが入った樽を一時的に他の酒蔵へ預けるために関係各所を奔走。その結果、福島県の「笹の川酒造」にウイスキーを預けることに成功したのです。
そして数年後、預けたウイスキーを元に製造・販売を行う会社「ベンチャーウィスキー」を設立。改めて蒸溜所を設立しました。2007年には、秩父市に新蒸溜所「秩父蒸溜所」を設立したのです。
海外でも人気のイチローズモルト
イチローズモルトの特徴は、そのフルーティーさと”お香のような”香り。特にミズナラの発酵槽や熟成樽を使ったことによる香りは、ウィスキー好きの間で国内外を問わず大きな人気を得ており、2018年にはイギリスで開催されていたウィスキーのコンペディション「ワールド・ウィスキー・アワード」で賞を受賞しています。
中でも、かつて羽生蒸留所で熟成されていたウィスキーを瓶詰したカードシリーズというラインは、数十万円というプレミア価格で取引されています。
イチローズモルトのラインナップ
「イチローズモルト モルト&グレーン」
他のラインに比べて、比較的リーズナブルで、買い求めやすい価格の1本。9蒸留所のモルト原酒と、2蒸留所のグレーンウイスキーをブレンドした同商品は、爽やかな香りが特徴。
口に入れた瞬間、レモンピールやオレンジピールといった柑橘系の香りを感じることができるでしょう。
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「イチローズモルト・プレミアム 3本セット」
イチローズモルト3つのラインナップを、200mlずつまとめた商品。羽生蒸溜所で造られていた原酒と秩父蒸溜所で造られた原酒をブランドした「ダブルディスティラリーズ」、熟成途中に樽を赤ワインで使われる物にした「ワインウッドリザーブ」など、3種類の異なる味を楽しめます。
イチローズモルト・プレミアム200ml 3本セットの購入はこちら
「イチローズモルト ジョーカーカラー」
そしてこちらがカードシリーズのイチローズモルト。大変高価になっており、プレミアが付いていることが良く分かります。
もしバーなどで発見できれば超ラッキー!ぜひとも、試してみて下さい!
まとめ
ウィスキーとして高い評価を持つイチローズモルト。値段は少し張りますが、それは手間暇がかかっている証拠です。
インターネットでの購入も可能なので、ウイスキー好きであればいちどは飲んでみるべきでしょう!
また、これまであまりウイスキーに触れてこなかった方も、「イチローズモルト」を味わうことでウイスキーに対する概念が変わるかも知れませんよ!
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