酒税法というものをご存知でしょうか?酒税法にはお酒の定義や分類・税率など基本的な事項が定められています。その酒税法が改定され、ビールの酒税に関しても様々な変化が現れました。ビールの酒税が変わることでビールを飲むわたしたちにも大きな変化が。ビールの酒税が改定されたことで何がどう変わるのかを具体的に解説させていただきます。
今までのビールの酒税
皆さんはビール、発泡酒、第三のビールとビールと言われるものでもいくつかに分かれていることをご存じでしょうか?この3つに分類されるだけでなく、今まではそれぞれにかかる酒税も異なっていました。
ビール、発泡酒、第3のビールについての違いはこちらの記事をご覧ください。
これまでのビールに対する酒税は以下の通りです。
ビール 77円
発泡酒 47円
第3のビール 28円
原料の中の麦芽の比率が67%以上のビール、25%未満の発泡酒、それから麦芽をまったく使わないなどの第3のビール、それぞれに対する酒税をコンビニエンスストアで売り出されている350ml缶のビールを例に出してご説明します。
221円(消費税込み、コンビニエンスストアの標準価格)のビール。これに今までかかっていた酒税は77円。そして8%の消費税として16円がかかっていました。ビールの小売価格に占める税負担率は、約42.2%と言えます。
164円(消費税込み、コンビニエンスストアの標準価格)の発泡酒の場合、酒税は47円。消費税は12円で税率負担は約36.1%です。
143円(消費税込み、コンビニエンスストアの標準価格)の第3のビールは酒税が28円、消費税が11円で、税率負担は約27.0%です。
ビールの価格の方が高く、発泡酒や第3のビールが安価で安いビールとして人気を得ていました。
ビールの酒税が改定されると?
ビールの酒税が改定されることにより、今までそれぞれに対してバラバラであった酒税が「ビール類の税額の55円程度への一本」となります。
コンビニエンスストアで売り出されている221円(税込み)のビールは24円安くなり、197円程になります。一方発泡酒は8円値上がりして172円に、第3のビールは28円も高くなり171円になり、総合的にビール類の値段が統一されることになるのです。
これまで高いというイメージのあったビールと、安さの代表である第3のビールとの価格差は78円から26円に、ビールと発泡酒では57円が25円にまで縮小されてしまいます。
ビールの定義も変わる
変わるのは価格だけではありません。これまでは麦芽の比率が67%以上のものだけを「ビール」と定義していましたが、平成30年4月には、67%以上としている麦芽比率を50%以上に緩和します。さらに副原料に果実なども使えるようになります。
麦芽比率が67%以上と決められていたことにより輸入ビールは発泡酒扱いされブランドのイメージが崩れてしまっていたという現状も、これにより変化してくると同時に日本でも様々な新しいビールが開発されていくかもしれません。
ビールを飲む私たちへの影響は?
酒税法が変わることで、ビール類の値段が変わってくることが分かりました。具体的に他にはどんな影響が現れるのでしょうか?
ビール好きに嬉しい!ビールが安くなる
本当はビールが飲みたいが、高いから今日は仕方なく発泡酒、なんてシーンもあるのでは。しかし酒税が変わってくると、そんな今までの悩みもなくなります。ビール類の値段がほぼ均一になるので、ビールも発泡酒もあまり大差が無くなる、ということになります。発泡酒を2本買うより、ビール1本で満足できるようになるかもしれません。
第3のビール、発泡酒が減る?
ビールは酒税が高いため、ビール会社側も消費者のニーズに合うように安くで味わうことのできる発泡酒や第3のビールの開発に力を注いでいました。が、今後は価格的にどのビール類もさほど変化が出なくなってきます。
プリン体やカロリーが低く、さらに値段も安いと親しまれていた発泡酒は、今後ビール会社の力の入れ具合も弱まってくるかもしれません。
ビールよりも発泡酒を好んで飲んでいた人たちにとって発泡酒は手に取りにくい存在になってしまったり、発泡酒が少なくなってしまったりする恐れもあります。
代わりにビールに重きが置かれたり、ビールの定義も変わったので輸入ビールのような本格的なビールが国内でも開発されるようになるかもしれません。
ビールの酒税法が変わったことによって私たちが受ける変化は大きいかもしれません。とはいっても10年という長い月日をかけ統一される酒税。急激に負担が増えることはないのでいったん安心でしょうか。これまでいつも通りに飲んでいたビール、今後考えながら飲んでみてください。