前回、「スコッチウイスキーは一言で表すのは不可能」というお話をさせていただきました。
同じスコットランドでも地域によって全く違うウイスキーを作っているからなのですが、これを細分化していくとさらに細かく特徴が分かれていきます。
細分化のポイントは、地域・ピート(泥炭)・シングルモルトorブレンデッドの3つです。一度にお話しするとワケワカメになりそうなので(私はなりました)、まずスコッチの生産地域ごとに特徴をお話ししていきますね。
スペイサイド
スコットランドで一番蒸留所が密集している地域です。多くの有名銘柄があり、恐らく一般的にイメージされている”スコッチ”はここのものでしょう。スコッチの中では最もスタンダードといいますか、特徴がありつつもとっつきやすい味のものを作っています。
知り合いのバーテンさん数人に「ウイスキーをこれから飲み始める人に勧めるとしたら、どこのものがいいですか?」と聞いてみたところ、ほぼ満場一致でスペイサイドでしたので、プロの間でも基準とされているようです。
「グレンリベット」「グレンフィディック」「ザ・マッカラン」などはほとんどのバーや店頭で置いていますね。ちなみにスコッチの名前によくつく”グレン”とは、現地の言葉ゲール語で”谷”という意味です。
ハイランド
出典:http://www.kameya.jp/smartphone/detail.html?id=001001000130
実はスペイサイドを含んだかなり広範囲を指します。あまりに広いので、東西南北+中央に区分けした上で解説されることが多いです。北部の「クライヌリッシュ」が最も有名でしょうか。
ローランド
出典:http://www.isobe.ne.jp/product/99
あまり種類は多くありませんが、さらりとした味で飲みやすいのがローランド。悪い言い方をすれば「個性に乏しい」「普通」ということにもなってしまうのですが、もともと度数の高いお酒ですから、「ドギツくないものがいい」方にはうってつけかもしれません。「オーヘントッシャン」などが有名です。
アイラ
出典:http://lounge.plaza.rakuten.co.jp/diary/gourmet035/53258
スコッチの中では一番個性が強烈なのがアイラです。同名の島全体を指します。スコッチウイスキーを造る途中でピート(泥炭)を焚いて香りをつけるという工程があるのですが、アイラ島の蒸留所では基本的にこのピートをガンガン焚くので、香りも味も独特の強さを持つのです。
しかし、ハマる人はとことんハマるのもここのウイスキーで、愛飲している人もたくさんいます。代表銘柄は「アードベッグ」「ボウモア」「ラフロイグ」など。
キャンベルタウン
出典:http://liquor.b-smile.jp/products/detail.php?product_id=108
スコットランドの南方海岸沿いにある町で、潮の香りを持っているのが最大の特徴です。かつてはたくさん蒸留所があったのですが、淘汰されて今はほんの数箇所しか稼動していません。
最近では停止した蒸留所の復興や新しいウイスキーの製造にも力を入れており、これから大きく変化する可能性を持った地域といえるでしょう。そのため日本に入ってきている銘柄は多くありませんが、一番出回っているのは「スプリングバンク」です。同じくバーテンさんに聞いてみたところ、意外に女性ウケがいいとか。華やかさも感じるからでしょうかね。
アイランズ
出典:http://www.kameya.jp/smartphone/detail.html?id=001001000151&xcode=001&mcode=001
スコッチの中で、一番ややこしい地域がこのアイランズかもしれません。文字通り”島々”なのですが、上記5ヶ所に当てはまらない地域のスコッチを全部まとめてここに分類しているような気がします。なぜかというと、島ごとに全く違うものを作っているからです。ですので、アイラに近いものもあれば、スペイサイドに近いものもあります。
それだけに「コレだ!」と思うものに出会うのはなかなか難しいですが、「いろいろ飲んでみたけど、いまいちピンとこないんだよね」なんてときに試してみるといいかもしれません。代表銘柄は「ハイランドパーク」「タリスカー」「スキャパ」などがあります。
ピートやシングルモルト・ブレンデッドといった他の要因については、また改めて書いていきますね。
それではまた次回!