出典:http://whiskymag.jp/environmental_3/
前回同様、スコッチの話題をもう少し続けさせていただきます。
今回は「ピート」と呼ばれる、スコッチになくてはならないもののお話です。
ピートとは
これはスコットランド特有の泥炭のこと。元は各種の植物が枯死・堆積して固まったもので、採取する場所によって堆積年数や香りが違います。
「え、飲み物に泥入れるの!?」とビックリした方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろんそのまま入れているわけではないのでご安心ください。
ウイスキーにはだいたい8段階くらいの製造工程があるのですが、そのスタート地点である「製麦」の段階でピートを使います。原料である麦を材料に整える工程ですね。
他のもので例えるとすれば、チーズケーキを作るためにはまずチーズを作らなければならない、というのに少し似ているでしょうか。
「製麦」の作業内容としては、まず採った麦を何日間か水に漬けては入れ替える「浸漬」を行って麦を発芽させます。このとき使われる”仕込み水”(マザー・ウォーター)もウイスキーの味を決める重要な要素です。
そして浸漬が終わったら、乾燥と香り付けのためにピートや石炭を焚きます。スコッチではほとんどの場合ピートを使うので、大黒柱といっても過言ではないというワケです。
ピートを焚く量や焚き方は各蒸留所や銘柄によって差があり、ほとんどピートのクセを感じさせないものもあれば、初心者ではちょっと飲みづらく感じるほど強い香りをつけることもあります。
スコッチを受け入れられるかどうかの指標にもなるので、これから飲み始める方はピート感の弱いものから強いものまでいくつか試してみるといいでしょう。
ウィスキーの種類
基本的にピートをガンガン焚くアイラのウイスキーでも、甘みとマッチしてチョコレートのような風味を生み出すものもありますから、ただ単純に「クサい」ということはほとんどありません。
私の友人(女性)でも、ピート香の強いことで有名な”アードベッグ”を愛飲している方がいます。やはりチョコレートっぽさにハマったのだそうですよ。
アイラで言えば、”ボウモア”は墨、”ラガヴーリン”はお線香、”ラフロイグ”は海藻もしくは薬品っぽい香りがします。
アイラ以外ですと、”タリスカー”はわずかな潮の香りとピート香がうまく調和して飲みやすいですね。私も好きです。
この中でピート香やクセの強い順に並べると、ラフロイグ>アードベッグ>ラガヴーリン>ボウモア>タリスカーでしょうか。もちろん人によって感じ方は違うので、あくまで目安ですが。
ピートの性質やその後熟成させるときの環境によってもウイスキーの味は異なってきますので、「ピート=苦手」と思い込まずに、一度はメジャーな銘柄を試してみるのがいいかな、と思います。
飲み比べてみよう
バーによっては、3種類ぐらい銘柄を指定して少しずつ飲み比べができるテイスティングセットを用意していることもありますので、そういうお店を探して行ってみるととっつきやすいかもしれませんね。
もしくは、「初めて飲むものなので、ハーフショットでお願いします」と言うと応じてくれることもあります。飲みきれるかどうかが心配な場合はこちらもオススメです。
まとめ
それでは今回のまとめです。
・ピートとは、乾燥と香り付けのために用いられる、スコットランド特有の泥炭のこと
・ウィスキーの香りとクセはピートを焚く量や焚き方などで決まる
・これから飲み始める方はピート感の弱いものから強いものまでいくつか試してみるのがオススメ
それではまた次回!