「オフフレーバー」という言葉を聞いたことはあります?
ビールのラベルに書かれている「直射日光の当たる車内など高温になる場所を避けて…」と言った注意書きもありますが、それらはこの「オフフレーバー」の発生を予防するためでもあるんです!
今回は、そんなビールの大敵!?「オフフレーバー」について詳しく見ていきます!
オフフレーバーってなんだろう?
「オフフレーバー」というのは食品成分の化学変化や物質の混入、また細菌の繁殖などによって食品の品質が劣化し、それが原因となって発生する異臭のことです。
ビールの場合だと、醸造工程や保存方法が悪い場合に、微生物の発生やビールそのものの品質が劣化することで生じる異臭や味のことをさします。
ビールのオフフレーバーとしては「DMS」・「ダイアセチル」・「イソヴァレリアン酸」・「酸化臭」・「日光臭」の5つが代表的なものとして挙げられます。
ビールのオフフレーバー ①DMS
DMSは「Dimethyl Sulfide」を省略した言葉。日本では、「硫化ジメチル」と呼ばれる物質です。
このオフフレーバーは「キャベツ」の臭いに例えられます。
麦芽の加熱で発生する際に出てくる臭いですが、高い熱で蒸発するという性質を持っています。
そのため、低温で仕上げる淡色のラガースタイルでは微量なら許容されているそうです。
麦芽以外だと、細菌の繁殖によって生じることもあると言われています。
ビールのオフフレーバー ②ダイアセチル
ダイアセチルは、よく「バター」の臭いに例えられ、”油っぽい臭い”がするオフフレーバーです。
発酵の過程で必ず発生しますが、発酵が進むと酵母による消滅反応が起き、臭いが消えます。
酵母の発酵が完了していれば既に消えている臭いのため、酵母を取り除くタイミングが早すぎた場合に生じてしまう臭いと言われています。
ビールのオフフレーバー ③イソヴァレリアン酸
「チーズ」の臭いに例えられ、独特の発酵臭するオフフレーバーの「イソヴァレリアン酸」。
この臭いは、ホップの劣化によって起こるものです。
保存状態のよくないホップを使ってビールを製造してしまった場合、またビールを高温で放置した場合などについてしまうことが多いそうです。
ダイアセチルとイソヴァレリアン酸が混ざると......とんでもない臭いになってしまうそうですよ......。
ビールのオフフレーバー ④酸化臭
酸化臭は、よく「濡れたダンボール箱の臭い」に例えられます。
麦芽由来のリノール酸などの脂質が酸化することで2-ノネナールという物質が作られ、これが原因となり紙のような不快な臭いとるそうです。
この臭いの物質は加齢臭の原因物質と構造がよく似ているため、ツンとした酸っぱい臭いと言われることも。
想像しただけで鼻がムズムズしてきます......。
ビールのオフフレーバー ⑤日光臭
日光と聞くと、外で干した布団の柔らかいお日様の匂いを想像してしまいますが、このオフフレーバーはよくスカンクのような「獣臭」に例えられます。
紫外線を浴びることで生じた一酸化硫黄がビールの成分と反応することで発生するそうです。
あまりイメージはありませんが、蛍光灯からも紫外線は出ており、宴会などで蛍光灯の下にずっとビールを放置してしまうことでも簡単に品質が悪化し、日光臭が出てしまいます。
実は、ビール瓶が茶色なのはこの「日光臭」が発生するのを防ぐために紫外線をなるべく通さないための工夫なんです!
オフフレーバーを利用したビールがある!?
ここまでの説明をみると、「オフフレーバーってやっぱり良くないものなんだ!」と思ったはず。
しかし、世界には上記のような、”香り”を逆に生かしているビールも存在するんです!!
ボヘミアン・ピルスナースタイルの元祖『ピルスナー・ウルケル』。
このボヘミアン・ピルスナースタイルは、②で紹介した「ダイアセチル」をビールのアクセントとしてうまく利用しています。
オフフレーバーは、予期せぬ形で付いてしまった香り。ウルケルのように狙ってつけた香りであれば、オフフレーバーとは言いません。生産者が狙ってつけた、個性豊かな香りを楽しんでみてください!
【 セット 販売 】 Pilsner Urquell ( ピルスナー・ウルケル ) 5度 330ml 6本 セットの購入はこちら
その他にもあえてホップを寝かせてアクセントとするベルギースタイルのビールなども製造されています!
まとめ
「オフフレーバー」というと取り除いたほうがいいものというイメージが付いていますが、うまく利用すればそのビールの強み、特徴になることもあります。
多くの人が「のどごし」や「キレ味」に注目しがちなビールですが、実は「嗅覚」もビールにとって大切な要素。
ビールを美味しく飲むためにも、強みとしての”香り”は楽しみ、ビールの良さを損なう”香り(オフフレーバー)”は出さないように正しい保存方法を心がけましょう!
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