日本酒の製法は様々で、目指している酒ごとに作り方が異なります。
アルコール添加の有無、火入れの回数、加水の有無などがそれにあたりますが、方法によっては手がかかったり、技術的に難しい方法もあります。
そんな中、あえて「アルコール添加なし」、「火入れなし」、「濾過なし」、「加水なし」というあまり一般的ではない方法で造られたお酒があります。それが「風の森」です。
今回は、そんな「風の森」の魅力や、おいしさの秘密について解説していきます。
「風の森」を造る油長酒造
出典:公式ホームページ
「風の森」を作っているのが、「油長酒蔵」。日本清酒発祥の地と言われている、奈良にある酒蔵です。
昔は酒といえばにごり酒が一般的でしたが、奈良の菩提山正暦寺で生まれた「菩提酛」という技法によって、現在の清酒造りの技術が整ったといわれています。
そんな歴史ある土地で酒を作る油長酒造は、享保4年(1719年)創業の、300年近い歴史がある老舗の蔵。奈良県の中でも比較的大きな蔵で、普通酒を中心とした酒造りを行ってきました。
しかし本物の酒造りを目指し、吟醸酒専用の蔵が作られ、1998年から発売を開始しました。さらに2001年からは、醸造アルコールを添加しない、純米系のお酒のみが造られるようになっています。
長い歴史を持つ蔵ですが、独自の日本酒分離技術を開発したり、精米歩合22%のお酒をつくったりと、革新的な取り組みにも注目が集まる蔵です。
この独創性は「ALPHA 風の森」というシリーズに表れており、どの商品も日本酒のさらなる可能性が追求されています。
ほぼ全てのお酒が純米無濾過生原酒!
出典:公式ホームページ
「風の森」の特徴は、シュワっとした炭酸ガスの心地よい刺激と、鼻に抜ける果実の爽やかな香り。
爽やかでありながらしっかりとした旨みのある味わいに、余韻のある酸味も感じられます。
味わい方として、開栓直後と、時間をおいたあとの2パターンで楽しめるのも特徴です。
開栓直後はプチプチと炭酸を感じる、フレッシュな味わい。
数日たつと炭酸ガスが抜け、お酒本来の特徴をよりはっきりと楽しむことができます。米の豊かな旨味や甘み、酵母が造りだした果実のような香りや酸味を楽しむため、飲み干さずにあえて残しておきましょう。
そんな奈良県を代表する日本酒「風の森」。おいしさの秘密をご紹介します。
純米にこだわる!
油長酒造のお酒はすべて"純米酒"。醸造アルコールを一切添加せず、米、水、米麹だけで作られたお酒です。
かつては防腐のために加えられていた醸造アルコールですが、現在は日本酒の吟醸香という良い香りを立たせたり、糖や酸による雑味をアルコールで抑えることで、スッキリした飲み口にする目的で添加されます。
醸造アルコールを添加しない純米酒の特徴は、濃厚でコクのある風味と、米本来の旨みにあります。風の森のしっかりした旨みは、ここからきているのかもしれませんね。
生酒にこだわる!
年間を通して、火入れをしない生酒で出荷されています。
一般的な日本酒は、火入れといって加熱殺菌を行っています。酵素の動きを止めることで、過度な日本酒の熟成を防ぎ、殺菌することで、日本酒が白濁することを防ぐ効果があります。火入れをしない生酒では、上記のようなリスクが発生し、流通させるのがとても難しくなります。
油長酒造では、微生物を徹底管理したり、独自のタンクを導入したりと、先進的な取り組みを行っています。このおかげで、年間を通して「生酒」を提供することができるのです。生酒の若くてフレッシュな味わいやシュワっとした炭酸ガスは、風の森の特徴にもよくあらわれています。
無加水にこだわる!
日本酒は、完成した原酒に水を加えることでアルコール度数を調整しています。この加水を一切せずに出荷されるのが「原酒」です。通常の日本酒よりもアルコール度数が高く、そのどっしり濃厚な味わいは、原酒ならではの魅力です。
無濾過にこだわる!
もろみから絞られた日本酒の元となる液体は、濾過機やフィルターを通すのが一般的です。これには日本酒の色を透明にし、香味を調整する意味があります。
しかし濾過によって、できたての味わいが損なわれてしまいがちです。無濾過であることで、できたてのフレッシュさや、味わいの個性を残すことができます。
搾り方にこだわる!
「しぼり華」や「笊籬採り」といった方法で、圧力をかけずに搾られます。
お酒を搾る際、醪を酒袋に入れ、加圧することで液体を搾り取ります。「しぼり華」とは、加圧する前に醪みずからの重みで自然に流れ出たお酒です。「あらばしり」ともいわれ、貴重な部分のお酒です。搾る際の華やかな部分という意味で、しぼり華といわれるそうです。
「笊籬採り」は醪中にザルのようなものを沈め、醪とお酒を分離する方法です。無加圧に近い状態で搾れることや、お酒を空気に触れさせないことで酸化を防ぐことができます。笊籬採りのお酒は通常の商品よりも炭酸ガスの含有率が高くなっているのも特徴です。
代表的な銘柄をご紹介
風の森 秋津穂 純米しぼり華
まずは風の森のスタンダードともいえるこちらのお酒。地元奈良で栽培される飯米、秋津穂を使用しています。
ボリューム感があり秋津穂米特有のしっかりとした旨みが感じられるお酒です。
一方で重さや雑味はなく、フレッシュな香りや爽やかな酸も感じられます。しっかり美味しいのに、手頃な価格で手に入るのもうれしいところ。風の森、はじめの一本におすすめです。
ALPHA 風の森 TYPE 2
秋津穂をなんど22%まで精米した、新たな挑戦を感じさせるお酒がこのTYPE2。
とても滑らかな質感が特徴です。
複雑な香りは穏やかかつ爽やかで、果実系の香りが感じられます。7号系酵母と組み合わせることで、秋津穂の良さが引き出されているのも特徴です。
風の森 キヌヒカリ 純米大吟醸しぼり華
こちらも飯米であるキヌヒカリを使用したお酒。絹のような口当たりと、柔らかな酸味が特徴です。お米由来のピュアな甘みが感じられ、果実のような香りがします。
残念なことに、この商品は2018年をもって終売とのこと。手に入らなくなると思うと、余計に飲みたくなってしまいますね。
風の森 雄町 純米しぼり華
酒造好適米雄町を使用した、精米歩合80%という低精白のお酒。超低温長期発酵によって、幅のある複雑な味わいを持つ雄町の個性が存分に引き出されます。
低精米とはいえ大味な印象はなく、リッチな甘みと酸味がバランスよく調和しているのが特徴です。
風の森の口コミ・評価
風の森 秋津穂 純米大吟醸
祝い酒じゃ‼︎
ヮチョ-ィ☆ヾ(〃ω〃ヾ))((ノ〃ω〃)ノ゙ヮチョ-ィ☆※嫁さんの喜び具合は後ほど pic.twitter.com/lzXGVW0zSS
— もーりす (@GOGOMORITASAN) 2018年1月24日
今月の宅飲み酒は赤松大好き風の森
風の森特有のガス感は前飲んだあらばしりにはあんまりなくて残念やったけど、今回はしっかりガス感ありで美味。 pic.twitter.com/XsPJBWjoWI— YUSEI AKAMATSU (@Apollon_voc) 2018年1月24日
風の森最高ですね pic.twitter.com/KcQxfZVT5A
— イヴ (@e8v3e) 2018年1月25日
油長酒造株式会社『風の森 純米無濾過生加水』🍶
奈良県産の『秋津穂』という酒米だそうです。知らない米だ〜(゚∀゚)
てか、発泡感!美味ッ!(゚∀゚) pic.twitter.com/p0bNv1XcKR— igarander (@igarander) 2018年1月27日
本日の晩酌
『風の森』
ALPHA TYPE 1雪の影響(おかげ?)で早帰り。
こんな時は、開栓!!
知ってるけどピリピリ感すげぇな!
レマコム温度-5℃だから冷えすぎてるので、少し温度が上がってくると旨味と果実味が突き抜ける!
程よい微かな苦味がなお良し!
ガス感無くなる前に無くなっちゃうかな😅 pic.twitter.com/eBtuPLWFG5— d@1ch@n (@chan__dai) 2018年1月22日
まとめ
以上、油長酒蔵の「風の森」についてご紹介しました。
油長酒蔵は長い歴史を持つ蔵ですが、生酒を通年商品としたり、超高精米のお酒を造ったりと、技術革新にも余念がありません。「風の森」は、長い歴史と新しさの両方を感じられる、おもしろいお酒なのではないでしょうか。
「風の森」の栓を開けたときのポンっという音を聞けば、心がわくわくすることでしょう。口に含めば米の旨味をしっかり感じ、爽やかな酸と香りが広がります。普段のお食事にも特別な集まりにも、ぜひ一本いかがでしょうか。
風の森はインターネットから購入できます
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