伴野貴之のマイお気に入り記録


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2018.2.19
日本酒

日本酒に「醸造アルコール」を入れるのはなぜ?本当の理由を教えます!

日本酒好きな人は、「醸造アルコール」が添加された日本酒と、添加されてない日本酒があることを知っていますよね?

あまり日本酒に興味がない人だと、「アルコールが入ってる日本酒って安いんでしょ?」、「質が悪いやつだよね」など、間違ったイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。

近年の純米酒ブームの影響もあるのか、醸造アルコールの使用数量*は、平成23酒造年度~平成27酒造年度(平成23年7月1日~平成28年6月30日)の4年間で、白米1t当たり179.7Lから152.0Lにまで、年々さがってきています。
※アルコール分 100 度換算

純米酒の人気に押されがちな「醸造アルコール」が入ったお酒。
今回は「醸造アルコール」についての誤解を解いて、その役割を解説するとともに、おいしい銘柄をご紹介したいと思います。

醸造アルコールとは

醸造アルコールとは、食用に用いられるアルコールのこと。化学薬品などではなく、植物由来のもので、主にサトウキビを原料としたお酒です。
ほぼ100%の純度のアルコールですが、清酒に加えられる際には30%程度の度数に調整されています。

醸造アルコールは香りや味がほとんどないため、日本酒の風味をじゃますることなく添加をすることができるんです。

なお、度数が36%以下になるように調整されたものが、甲類焼酎。チューハイや梅酒を造る際に使われるので、皆さんも知らないうちに飲んでいるかと思いますよ!

わざわざ入れるのはなぜ?

アルコールを添加しないお酒がある一方で、なぜわざわざ醸造アルコールを添加する必要があるのでしょうか。
それは、添加によって得られるメリットがあるためです。

●飲み口がスッキリ・軽快・爽やかになる

これは皆さん感じたことがあるかもしれません。醸造アルコールを添加した日本酒は、スッキリとした、爽やかな飲み口のものが多いです。日本酒に含まれる糖分や酸による雑味の部分を、アルコールが抑える効果があるためとされています。

アルコールを加えたお酒は、いわゆる辛口のものが多いのですが、それはアルコール分30%ほどの醸造アルコールをもろみに加えると、日本酒度が必然的に高くなるためなんです。

ただし、辛く感じるか甘く感じるかは他の要素とのバランスもあるので、日本酒度が高いからといって、一概に辛口ではないので注意してください。

●フルーティーな吟醸香が際立つ

吟醸酒や大吟醸酒から、華やかでフルーティーな香りを感じたことがないでしょうか?この香りは「吟醸香」と呼ばれ、醪の中に含まれる成分で構成されています。
この成分はアルコールには溶けますが、水には溶けません。

醪を搾って酒粕と液体を分離する際、アルコール度数が低いと、香りの成分が液体に溶け出さず、酒粕に残ってしまいます。高濃度のアルコールを加えることで、香りの成分をお酒に溶け込ませることができるのです。

鑑評会用のお酒は、アルコール添加された大吟醸酒が多いのも、この理由が大きいのではないでしょうか。

●雑菌やカビなどの繁殖を防ぐ

お酒は品質管理をしっかりしないと、雑菌が増えたりカビが繁殖したりします。その腐敗を防ぐ目的で、アルコールを添加するのです。
この方法はまだ日本酒の衛生管理が難しかった江戸時代から行われていました。

当時は現在のような醸造アルコールではなく、酒粕からつくられ粕取焼酎や、本格焼酎などが使用されていましたそうです。

悪いイメージはどこから?

上記のように、明確な目的のもと使われる醸造アルコールですが、どうしてネガティブなイメージをもたれてしまのでしょう?

それは、過去に行われていた「三倍醸造」にあるようです。

米不足対策で普及した三倍増醸酒

三倍増醸酒(三増酒)」とは、戦後の米不足の状況下で生まれたお酒。
米からできたアルコールの約2倍にもあたる醸造アルコールを添加、さらには甘味料や酸味料を加え、結果的に3倍に水増しされて造られた日本酒のことです。

当然品質はよくありませんが、低コストで大量に生産できることや、米不足のため低精白で雑味の多い純米酒より三倍増醸清酒が好まれるなど、戦後しばらくは普及し続けました。

現在は酒税法の改正により、3倍まで増量できなくなっているので、このようなお酒が「清酒」として出回っていることはありません

でも悪酔いするんじゃないの…?

醸造アルコールが入っていると悪酔いする、ということはまずないでしょう。

醸造アルコールの正体は甲類焼酎、つまり梅酒やサワーに使われているものと同じです。

三倍増醸酒のイメージから、「アルコールが添加された酒=質が悪い=体に悪い」のようなイメージがついてしまったのではないでしょうか。

醸造用アルコールを避けることよりも、飲む量やその日の体調に気を配ってお酒を楽しむことが大切です。

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