初心者でも飲みやすく、日本人にも好まれる甘さを持つリキュールが、「ラム酒」です。ラム酒は、さまざまなカクテルのベースに使用されているだけではなく、ストレートで飲んでも美味しく飲むことができる、人気のリキュールです。
上級者向けという印象のあるリキュール類ですが、実はラム酒は初心者の方でも飲みやすく、ハードリカーの世界の入り口にはもってこいのお酒なのです。今回、ココでは初心者でも飲みやすいラム酒をいくつか紹介してみようと思います。
ラム酒ってどんなお酒!?
まず、漠然とラム酒を紹介してもよく分からないと思いますので、ラム酒とは何かをご説明していきます。
ラム酒は、一般的にはサトウキビの廃糖蜜か搾り汁を原料としているスピリッツとされています。
発祥は17世紀のカリブ海の島という説が有力です。たしかに、パイレーツ・オブ・カリビアンの海賊たちも飲んでいましたよね。
もともと、カリブ海の島にサトウキビは自生していませんでしたが、コロンブスがアメリカ大陸を発見し、そのあとにヨーロッパ人によってサトウキビが持ち込まれたことがきっかけで一大産地になったんだそう。
ラム酒の発祥は、「バルバドス島説」と「プエルトリコ島説」の2つが有力とされていていますが、いずれにせよ17世紀にカリブ海の島で誕生したと言われています。
日本でも江戸時代から普及していた!?
ちなみに日本では、小笠原諸島では1830年ごろの開拓初期からラム酒の取引が始まっていたんだそう。
1876年、小笠原諸島は日本の領土になり、本格的なサトウキビ栽培が始まり、製糖業が盛んになります。その中で小笠原諸島では、製糖の過程で出る副産物「モラセス」を発酵させ、酒として楽しむようになりました。
地元では「泡酒」や「蜜酒」と呼ばれているこのお酒ですが、実はこれ「インダストリアル・ラム」と呼ばれているラム酒の1種。
かなり昔から日本でもラム酒が造られていたんですね。国産ラム酒は現在、小笠原諸島だけでなく鹿児島や沖縄の一部の酒造メーカーが製造しています。
日本人にとって飲みやすいと言われているラム酒
味わいはサトウキビ由来ということからも想像がつくように、カラメルのような香ばしい甘みとねっとりとした甘い香りが特徴です。
このような味わいから、お菓子に入れたり、ドライフルーツを漬け込むときに使用されるなど汎用性が高いお酒であるとも言えますね。
また、アルコール度数は決して低くはありませんが、この甘さによって蒸留酒の中では比較的飲みやすい印象になっています。
ちなみに日本人にとってラム酒が飲みやすいという理由のひとつに、日本には黒糖を使用した「黒糖焼酎」があるからではないかと考えられています。
米麹や固形の黒砂糖を使用する黒糖焼酎とは、原料が違ってはいますが、共通点があるためにどこか飲みやすさを感じられるのかもしれません。
親しみやすいラム酒は世界的にも人気で、今ではテキーラ、ジン、ウォッカと並び、世界4大スピリッツに数えられているのです。
色法・醸造原料でわかるラム酒の味わいの違い
●色
まずは色。
ラムは色によって「ホワイトラム」、「ゴールドラム」、「ダークラム」の3つに種類が分かれています。
ホワイトラムは、活性炭によってろ過して造られた無色のラム酒のこと。
クセが少ないので、主にカクテルベースとして使用されます。
ゴールドラムは樽で熟成させて作る薄褐色のラム酒。
適度な香りが特徴的です。
ダークラムはゴールドラムと同様に樽で熟成させて造りますが、より濃い色で風味が強い傾向があります。
インパクトのある風味を利用して、お菓子やカクテルに使用されることも多いのがこのタイプです。
●製法
製法では大きく分けると「ライトタイプ」「ヘビータイプ」「ミディアムタイプ」があります。
ライトタイプは、糖蜜に水を加え、純粋培養した酵母を用いて発酵させてから、連続式蒸留機で蒸留。その後、内面を焦がしていないホワイトオークの樽に短期間熟成して完成するもの。
この時活性炭でろ過するとホワイトラムに、しないとゴールドラムになります。
柔らかい口当たりと優しい軽い香りが特徴的なのがこのタイプです。
ヘビータイプは原料を自然発酵させ、単式蒸留器で蒸留。その後、内側を焦がしたオーク樽で3年以上長期熟成させて完成するもの。
色だけでなく、味が濃いことも特徴でインパクトのある味わいです。
ミディアムタイプはライトとヘビーの中間といった立ち位置。
ヘビータイプのように原料を自然発酵させて異なる蒸留方法で造る場合と、ライトタイプとヘビータイプをブレンドさせて作る2種類が存在します。
バランスの取れた甘さと香りが特徴的なタイプですね。
また、少し異質な存在ですが、バニラなどのスパイスで香りを付けた「スパイスド ラム」というタイプもあります。
このタイプはアルコール度数が少し低いことも特徴です。
●醸造原料
醸造原料は「インダストリアル製法」と「アグリコール製法」の2つの製法に分けることができます。
「インダストリアル製法」はサトウキビから砂糖をつくるときに副産物「モラセス」を原料とするラム酒の製法です。
先ほどご紹介した、小笠原諸島のラム酒もここに分類されます。
モラセスは貯蔵することができるので、これを原料としたラム酒は通年の製造が可能となります。
「アグリコール製法」はサトウキビのしぼり汁を原料とする製法です。
サトウキビのしぼり汁は貯蔵がきかないので、サトウキビの生産地の近くで、サトウキビの収穫時期のみ製造できるラム酒になります。場所も期間も限定されたところでしか造れないので生産量がとても少なく貴重なのです。