みなさんは「麦芽」という言葉を聞いたことはありますか?
ビール作りに必要不可欠な「ホップ」・「麦芽」・「水」の主原料の1つです。
お酒好きな方なら、絶対に1度は聞いたことのある麦芽ですが、どんな工程を経て美味しいビールの源になっているのか説明できる方は少ないのではないでしょうか。
今回は、知っていたらもっとお酒が楽しくなる「麦芽」について詳しく見ていきましょう!
ビールの主原料「麦芽」ってなに?
麦芽は「大麦」から作られたものです。
簡単に言うとこの「大麦」を発芽させたものが「麦芽」。
麦芽にする工程は5つ。
「精選」→「浸麦」→「発芽」→「焙燥(乾燥)」→「除根」です。
大麦に水を与え、発芽させ、ある程度大きくなったら乾燥させ、最後に根を取り除きます。
大麦そのものを使わない理由としては「色味」、「うまみと香り」、「泡立ち」の鍵を麦芽が握っているからです。
ビールの「色」を決める
発芽をより進めたり、高温で乾燥させることで麦芽の色も濃くなります。こうした違いによって「淡色麦芽」や「濃色麦芽」といった種類に分けることができます。
黒ビールが黒いのも、人工的に色をつけたわけではなく、麦芽が濃い色をしているために生まれる色です。
「うまみと香り」が変化する
例えばラガービールに使われる「淡色麦芽」のピルスナーモルトは爽やかな味わいをしていますが、黒ビールなどに使用される「濃色麦芽」のカラメルモルトはコーヒーやキャラメルのような香ばしさがあります。
“大麦”という同じ原料を使っているにもかかわらず、味や香りが全くことなるビールが生まれるのは麦芽のおかげ。
麦芽の作り方を変えることで、味わいの異なる様々なビールスタイルが生まれています。
「泡立ち」にも麦芽が関係
ビールの泡は、麦芽のタンパク質とホップの成分によってできています。
ビールをさらに美味しくするキメの細かい繊細な泡は良質な麦芽が必要となってきます。
このように「麦芽」はビール作りをする上で大切になってくる役割をいくつも担っているのです。
麦芽はどうして大麦なの?小麦と大麦の違い
「大麦」と「小麦」の違いはご存知でしょうか。
大きいから大麦、小さいから小麦、ではないんですよ!
名称の由来は、小麦は粉にして使用されることが多いから「粉麦(こむぎ)」と呼ばれたとか、古くから生産されているから「古麦(こむぎ)」、または「(用途が)小なる麦」であることから小麦など諸説あります。大麦は、「(用途が)大なる麦」というところから大麦になったのではないか、と言われています。
小麦では上記でも少し触れた通り、粉として使われることが多く、現在でもうどんやパンなど“食べ物”に使われることが多いです。
一方で、調味料などによく使われているのが大麦。
また大麦の中でも二条大麦と呼ばれる品種がビール造りの際によく使われています。
デンプン質の含有量が適切で、発芽力に優れているため扱いがしやすかったんですね。
現在は小麦もビールの原料として使われていますが、小麦は穀皮がないので、精麦の時に壊れやすく扱いにくいため、やはり「ビールの原料=大麦」になっています。
ただ、小麦のビールはバーレーワインとも呼ばれていて、より芳醇でまったりとした味わいが人気になっています。