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ハタチになったばかりの頃は「ビールなんて苦くて飲めない」と思っていたのに、「仕事のあとのこの1杯はやめられない!」なんて今宵もジョッキを傾けているあなた。そう、ビールの苦味って、クセになるんですよね。
今回は、とびきり苦味が際立つビール「IPA」を紹介します。
IPAとは?
IPAとは、Indian Pale Ale(インディアン・ペール・エール)の略。その名のとおり、「エール」の一種なのです。
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「エール」については、以前NOMOOOでも「結婚式をエールで祝おう!結婚+エールの意外なカンケイ」などで取り上げたとおり、ヨーロッパで古くから飲まれてきたビールです。
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国際貿易が盛んになった18世紀、イギリスがインドにエールを輸出しようと試みました。しかし、海を渡る間にエールは腐ってしまう…そこで、苦味のもととなるホップを防腐剤の代わりに大量に投入し、かつアルコール度数を高めたのが、IPAのはじまりです。
苦味を堪能するには?
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IPAの楽しみは、なんといってもホップの香りと苦味。持ち味を十分に引き出すために、冷やし過ぎはNGです。<strong>適正温度は13℃。冷蔵庫なら30分、冬なら、冷暗所で常温保存でも十分です。
どれくらい苦いの?
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ビールの苦味はIBU(International Bitterness Unit=国際苦味単位)という数値で表すことができます。日本で飲まれている大手メーカーのビールは、15〜30。IPAは、倍近い50以上が一般的です。もちろん、これはあくまで数字の世界。どれくらい苦いかは、ぜひ自身の舌でジャッジしてみてください!
おすすめのIPA
ヤッホーブルーイング/インドの青鬼(日本/IBU:56)
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コンビニや大手スーパーなどでも見かけるようになった「インドの青鬼」は、IPA入門としてもおすすめ。ホップの香りがフルーティで、ツヤっとしたクリアな味わいです。「この苦味、意外にイケるじゃないか!」と思ったら、あとは坂道を転がるようにIPAの魅力に取り憑かれることでしょう。
ROGUE Brutal IPA ローグ/ブルータル・IPA(アメリカ)/IBU:59
日本では「なまらにがいIPA」という名称で流通している、ブルータルIPA。Brutal Bitterとは残酷なまでに苦いという意味。けれども、喉を流れるグレープフルーツのような香味は、むしろ心地いい苦味にも感じられます。
Green Flash West Coast IPA グリーン・フラッシュ/ウェスト・コースト・IPA(アメリカ)/IBU:95
オレンジがかった黄金色に、特別な瞬間を期待してしまうウェスト・コーストIPA。鼻先をくすぐるホップの香りと、干し草のような渋みが爽快に流れます。さすが、100IBUを目前に、苦味がじわり迫力を増してきます。そして、苦味に対してキュンキュンし始めるのもこの辺り!?
Stone Ruination IPA ストーン/ルイネーションIPA(アメリカ)/IBU:100+
IPAムーブメントが起こるアメリカで高評価を獲得し続けるストーン・ブリューイングの看板IPAがこれ。舌の付け根にぐっとくる苦味と、鼻を通るキラキラしたホップの香気のバランスがたまりません。
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その上位機種ともいえるアロガント・バスタードやダブル・バスタード(ともにIBU100)は、より濃厚なコクとフレイバーを楽しむことができます。ネーミングセンスも◎。
BrewDog Hardcore Imperialブリュードッグ/ハードコア・インペリアル(イギリス)/IBU:150
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Punk IPAで人気を博したBrewDogが造ったストロングIPA。IBU150、アルコール度数9.2%という触書きに恐々グラスを手に取ると…これが意外。苦味よりも旨みや香味が引き立ち「新境地を見た」という気分に。苦味のさらに上を目指したくなってしまうから不思議です。
Mikkeller 1000 IBUミッケラー/1000IBU(オランダ)/IBU:1000
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どん!いきなりIBUが10倍に!ここまできたら怖いものなしです。豪快にいきましょう。
…あれ?苦味よりも、麦の旨みやフルーツ香がすごくおいしい!と、見せかけておいて、エスプレッソコーヒーを流し込んだあとのような、喉元にじんじんくる苦味が強烈です。でも、味をきちんとまとめてくるところはさすがミッケラー。
ちなみに、世界で一番IBU値が高いビールは、カナダのフライングモンキー社が造った「アルファ・フォニケーション」。なんと、IBU2500の爆弾級。どこかで手に入るなら、ぜひ飲んでみたいビールです。
ホップはハーブとしても優秀!
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ビールの苦味のもととなるホップには、鎮静作用、安眠作用、女性ホルモンを落ち着かせる効果など、ハーブとしても優秀な効能が。通常のビールに比べ何倍ものホップが使われているIPAは、その香りを存分に堪能することができるのです。これは女性にもぜひ飲んでいただきたい!
本日紹介したIPA以外にも、海外はもちろん、国内クラフトビールメーカーでも個性的なIPAがたくさん造られています。苦味にも千差万別、好みの「苦さ」を追求してみるのもおもしろいですよ!