伴野貴之のマイお気に入り記録


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2018.3.3
日本酒

”淡麗旨口”の日本酒!魚沼が産んだ美酒「鶴齢」の魅力に迫る

”淡麗旨口”の日本酒といえば、「鶴齢」。

「”淡麗辛口”は聞いたことあるけど、”淡麗旨口”ってあまり聞かないなあ」という方も多いのでは?

この鶴齢は、雪国のもたらす様々な恵みと、越後杜氏による伝統の技によって生み出された名酒。魚沼の風土と人々のつながりがつくりだした、逸品といえます。

その土地の風土やそこに住む人々、そしてお酒とのつながりを知れば、もっと美味しく飲めること間違いなし。今回は鶴齢について、ご紹介したいと思います。

「鶴齢」を作る青木酒造について


「青木酒造」は新潟県魚沼地方に位置する、1717年創業の300年以上の歴史を持つ蔵です。
この地で培ってきた伝統を後世へと継承すべく、正統な酒造りを行っています。秋篠宮殿下と紀子様が青木酒造を訪問された記録があることからも、この蔵の歴史がうかがえます。

「鶴齢」と命名したのは、現蔵元の先祖に当たる商人・随筆家の、鈴木牧之氏だと伝えられています。

明和7年(1770年)塩沢生まれの牧之氏は、『北越雪譜』という書物で、雪国の風俗や方言、習慣や伝承、産業など、魚沼の暮らしを綴った人物です。構想から30年の時間をかけて出版されたこの本は、当時の暮らしを知る貴重な史料と位置付けられています。

魚沼の地と青木酒造、そして鶴齢。すべてが遠い昔から、つながりをもっていることがうかがえますね。

鶴齢ってどんなお酒?

魚沼の食事が生み出した淡麗旨口

日本酒に詳しい人は、新潟の酒といえば「淡麗辛口」と想像するのではないでしょうか。
しかし鶴齢は、酒米本来の旨みを残した「淡麗旨口」のお酒です。

これには魚沼の食文化が関係しています。
雪国である魚沼の食事は、冬の保存食である干物や漬物などが食卓に多くあがります。また、汗をかき熱心に仕事をする魚沼人には、塩や醤油を用いた味付けの料理が好まれると言われています。

「鶴齢」はこれら濃い味の料理に合うよう、淡麗でキレが良いだけでなく、押し味として米本来の旨みが引き出されたお酒なのです。

日本百名山・巻機山の伏流水の恵み

仕込み水には、日本百名山の巻機山の伏流水が、地下80mからくみ上げられ使われています。
豊富な雪解け水を水源とする巻機山の伏流水は透明感がある軟質。雪どけ水由来の水はミネラル分が比較的少なく、じっくり穏やかに発酵をすすめることができるのだそうです。

軟水で仕込んだお酒の傾向として、なめらかでスッキリとした味になる傾向があります。雪解け水由来の水を使う新潟のお酒が淡麗なのは、この水質の影響が大きいかもしれませんね。

新潟の酒造好適米"越淡麗"

酒米には五百万石、山田錦、美山錦、雄町などが使用されていますが、中心となるのは新潟県産の越淡麗です。
越淡麗は“山田錦”を母、“五百万石”を父とする酒造好適米。新潟県醸造試験場、新潟県清酒組合、新潟県農業総合研究所作物研究センターが協力し、2004年に誕生しました。

「新潟での栽培に適し、山田錦を超える米質」を目標に掲げ開発された越淡麗は、まさに新潟が誇るお米ですね。

さらに造りにもこだわりが見られ、磨きや含ませる水分の量、蒸し方、合わせる酵母など、それぞれの米の持つ特徴にあわせて、「鶴齢らしい味」造りが行われています。

越後杜氏の技と「和合」の精神

原料や環境だけでなく、お酒に関わる”人”の力も重要です。越後杜氏による伝統技、そして南魚沼の人々との「和合」の精神も、お酒を形作る重要な要素。

越後杜氏は日本三大杜氏のひとつで、現在の新潟県に源流を持つ杜氏集団です。青木酒造では代々越後杜氏が鶴齢などを醸しています。

和合の精神とは、杜氏や農家の人々といった「造り手」と、酒屋や料理店などの「売り手」、そして「呑み手」による和合によって、よい酒が生まれるという考え方です。お互いを思いやり、慮り、時には我慢し、時には励まし合い、時には喜び合うことで、和合の精神は成立します。

農家の人が作る米、杜氏の技術、売ってくれる人と、最終的に飲んでくれる人。鶴齢に関わる全ての人々の調和によって、美味しい日本酒が造られるのですね。

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