今月のnomoooの特集は「スナック」。
昨今のブーム到来で気になってはいるけど、気おくれしてチャレンジできないでいる人も多いはず。
スナックに通って10年。世にスナックを広めるために活動する”スナック女子 ” 、略して ” スナ女”の五十嵐さんにスナック初心者の心得を伺います。

五十嵐 真由子さん
日本全国津々浦々、約400店舗のスナック扉を開けてきた女性スナック愛好家
扉の向こうにも天国はあった
さて、フライングで結論を申し上げます。
私は間違っていた。
居酒屋で飲む酒こそが天国への近道だと思っていたけれど、スナックにも天国はあった。
最高だった。
だって、スナックに行ったらカラオケの1曲でも歌わされるんだろうなと思ってたら、お抹茶を点ててもらって、あんこたっぷりの人形焼をいただいたから。
どうしてこうなったか。お店を訪ねたところから、順を追って説明しましょうね。
高層ビル街にある桃源郷「加悦」。
初心者にもやさしいお店を紹介してほしいとお願いして、連れてきてもらったのは三越前の「加悦」。ムベのつるが建物全体に絡まり、趣のある雰囲気です。

五十嵐さん

ふくい
朗らかなママさんがお出迎え
おしゃれなママさんが笑顔で迎えてくれ、ひと安心。

五十嵐さん
こちらのお店は、3000円で1セット。おつまみやお酒もセットになっています。

ふくい
難しいなと思うんです。結局いくらなんだ?って。

五十嵐さん
相場は1セットは大体3000〜5000円。
お酒やおつまみの値段が含まれるかはお店次第で、きちんと確認しておくことが大事です。
インタビューの前のとりあえず乾杯
何にします?と聞かれてとりあえず瓶ビールを。一杯目はママが注いでくれるから、旨さが増した気がします。

五十嵐さん

「2人とも、お腹空いていないかしら?今日くるって言ってたから、作っておいたのよ。」とママさん。

五十嵐さん
ママさん、お料理もお上手なんです。こうして用意しておいてくれるホスピタリティが嬉しい。
豪華なおつまみ5種盛り
ブリ大根、いわしの煮物、鶏つくね、煮玉子が盛ったお皿がやってきます。

ふくい
実家レベルの居心地の良さ。インタビューのことを忘れてしまいそうです。

五十嵐さん
お店によっては、ずっと入り浸っている常連さんがいて、たまにスタッフとして働いてたりもしますね。笑
ありがた〜いスナック入門教科書

五十嵐さん
私がスナックを巡る中で見つけたルールなどが詰まっています。

ふくい

五十嵐さん
・オーセンティックタイプ・・・ママさんやマスターと数人のスタッフで切り盛りするスナック
・ガールズラウンジタイプ・・・女性キャストが複数人在籍。男性客がメインターゲットのスナック
・進化系スナック・・・テーマスナック、日替わりママスナック、昼スナックなど新たなニーズを獲得しているスナック
私が好きなのはオーセンティックなスナックです。
もともとスナックは、今よりも社会的に女性が苦労した時代、女性一人で生計を立てるために軽食を出す飲食店を出したのがはじまりです。
だから、苦労を積み重ねてきたママさんも多くて、人間的に魅力のある方が多いんですよ。

ふくい
ただ……、どこもオーセンティックになればなるほど、入りにくい。
探偵気分で良いスナックを探す

ママさんがお芋をふかしてくれた。鍋は100年くらい代々使っているものだそう。

五十嵐さん
いい店を見つけるコツでもあるのですが、まず、一回電話してみることです。
女性がNGっていうお店もありますし、セット料金を聞いてみて予算に合うか判断できます。
声色や後ろのカラオケの声などを手がかりにして、お店の様子を伺うのも大事。

ふくい

五十嵐さん
店の看板や佇まいを確認します。そして、おしぼり。

ふくい

五十嵐さん
汚れ具合で賑やかなお店なのかなとか、出す量でマメにおしぼりを回収してもらっているんだなとか、自分なりに推理します。

ふくい

五十嵐さん
スナック巡りをはじめた当初は恐い思いもしたんですが、この2つをやるようになってから、減りましたね。
女子に嬉しいサツマイモ。

ふくい

五十嵐さん
個人的には、ママさんがゆっくりおしゃべりできる早めの時間がオススメ。
スナックを楽しむために守りたい8か条

五十嵐さん
■スナックの心得
※教科書から抜粋
その1:ママの許可なく入るべからず
初めてのお店では勝手に上がり込まず、お店の人に聞いてから入ろう。
「初めてなんですけど、大丈夫ですか?」と一声かけて、お店の都合を確認しよう。
その2:入店時はお邪魔します
カラオケの画面を遮ったり、邪魔になるのはNG!
周りのお客さんに配慮して楽しもう。
その3:根掘り葉掘り客はNG
ママの経歴やお店のことなどを根掘り葉掘り聞くのはやめましょう。
打ち解ければ、自然と話してくれるはず。
その4:カラオケで注意するポイント
歌が終わったら、拍手!マナーを守って好感度アップ。
その5:カラオケ独占禁止法
マイクを握りっぱなしはNG。
その6:困ったベロ客にはなるな
泥酔禁止。節度を持って楽しもう。
その7:自分勝手な困った客
ママが忙しそうな時に話しかけたり、誰かが歌っているの途中で帰ったり。
場の空気を壊すような行為はNG
その8:粋な客を目指せ
引き際は美しく。長居しすぎるのはNG

ふくい
最初は緊張してしまって、なかなかうまく立ち回れる自信がありません……。

五十嵐さん
ママがルール!
スナックはママの城。ここに敬意と気遣いを持てば、ルールは後からついてきます。

ふくい
スナックを愛するきっかけがドラマティック過ぎる

ふくい
スナックにこんなにハマるきっかけって、なんだったんですか?

五十嵐さん
その土地の偉い方にお会いするのに、その土地の詳しい情報をリサーチしなくてはならなくて、地元のタクシー運転手さんに良い場所があるか尋ねたんですね。
そうしたら「スナックに行きなよ」って。
おつまみはさっきので終わり、と思いきや、サーモンのサラダときゅうりの醤油漬け、ナッツなどが登場。

五十嵐さん
夜中まで、その土地のいろんな話をして、本当にありがたかった。

ふくい
2杯目はハイボール。ウイスキーの銘柄は竹鶴!

五十嵐さん
夜中ホテルに帰って、次の日の朝、その偉い方と商談するためにご飯も食べず向かおうとするじゃないですか。
そうしたら、ママさんが何にも食べてないでしょ?って、おにぎりを持ってきてくれました。
もちろん商談は大成功です。お会いした方に「どうして、そのスナックに呼んでくれなかった」って、言われたくらいです。

五十嵐さん
スナックには、その土地の歴史や物語が詰まっているということを知って、地方出張に行くたびにスナックへ足を運びました。

ふくい

ぶどうも美味しいよ、とデザートも出してくださるママさん。こ、これもセット料金なの?と不安にな
る。

五十嵐さん

ふくい

五十嵐さん
ママはカンカンだし、場の空気もキーンと張り詰めた感じで。そこで大の大人2人がシュンとなって、「ママ、ごめんよ」って謝るんですよ。お母さんに怒られたみたいな顔して。
最後は、ママの鶴の一声。「仲直りね」って2人の間を取り持って、めでたしめでたし。そのあとに、店のにいたみんなで交わした乾杯は最高でした。

ふくい
今時、そんな状況が生まれる場所ってあんまりないですよね。

五十嵐さん
そういう魅力をみんなにも知ってもらいたい、という思いで活動を続けているんです。
スナックで抹茶を飲む
インタビューを終えた後、ママさんがお抹茶を点ててくれました。どんどん出てくる料理とお酒に戸惑っていたが、こんなことってあるだろうか。
さらに食べ終わった後は、コーヒーまで入れてくれました。ランチタイムの短い時間だけ、喫茶店営業もしているのだそう。
お会計をお願いしたら、全てセットに含まれていて3000円ポッキリ。スナックってもっと高いものだと思っていたから、衝撃的でした。
カラオケも歌わなかった。五十嵐さんによると、カラオケメインのお店もあるが、スナックでは好きに過ごして良いとのこと。
「最近は歌わずに聞いている方が楽しい」と語る五十嵐さんの笑顔が、スナックの良さを物語っていました。
”あたたかい”の一言では片付けられないスナックの魅力。あなたも、その扉をあけてみませんか。
店舗詳細
店舗名 | 加悦 |
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住所 | 東京都中央区日本橋本町1-8-5 |
電話番号 | 03-3270-0065 |
営業時間 | 19:00~ |
定休日 | 土、日曜、祝日 |
HP | https://snacknavi.com/search/?q=%E5%8A%A0%E6%82%A6 |