サトウキビの絞り汁を原料とした蒸留酒である「ラム酒」をベースとしたカクテルである、モヒート。
文豪アーネスト・ヘミングウェイも、好んでモヒートを飲んだと言われており、当時彼が通っていたバー「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」は有名な観光地になっています。
また、2000年代には映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの影響でラム酒の人気が急上昇し、併せてラムベースのカクテルであるモヒートも好んで飲まれました。
この記事では、モヒートの由来や、度数・味わい、作り方やおすすめのラム酒を紹介します。
モヒートの基本情報
海賊の飲み物が発祥!?モヒートのご先祖「ドラケ」
キューバの首都ハバナが発祥と言われているカクテル・モヒート。驚くべきことに、その発祥は海賊たちが飲んでいたドリンクだったと言う説があります。
16世紀頃、海賊たちが飲んでいた飲み物「ドラケ」。これは、アグアルディエンテというサトウキビを原料とする蒸留酒に砂糖とミント、ライムを混ぜ合わせた飲み物で、ハバナでコレラが猛威を奮った際には、医療用目的としても飲まれていたとされています。
海賊たちの間で親しまれていたドラケは後にキューバの人々に伝えられ、キューバでも人気の飲み物になったのだそう
バカルディ・ラムの登場がモヒートを生んだ
ドラケがキューバ国内で楽しまれるようになった後、19世紀後半に現在でも世界で親しまれているラムが誕生します。それが、バカルディ・ラム。
バカルディ・ラムが発売されると、みるみるうちにキューバで大流行。ドラケに使用されていた、アグアルディエンテの代わりにバカルディ・ラムが使われるようになり、現在の人気カクテルであるモヒートが誕生したのだそう。
バカルディを使うのが一般的なモヒートでしたが、バカルディがキューバ国内から撤退した影響もあり、現在キューバでは「ハバナ・クラブ」を使ったモヒートが一般的になっています。
度数や風味・味わいについて
モヒートは、ラム酒をベースに砂糖が加えられ炭酸で割られたカクテル。そのため、比較的飲みやすくカクテル初心者にもおすすめの1杯です。甘いだけでなく、ライムやミントの清涼感によってクドくならないのが大きな特徴。炭酸水の刺激も相まって、スッキリとした喉越しと爽快感を楽しめるカクテルです。
ベースとなるラム酒そのもののアルコール度数は40%程度ですが、炭酸水や砂糖が加わるためモヒートのアルコール度数は10〜20%ほどで仕上がることが多いです。
炭酸水の割合や砂糖を加える量によっても、甘さやアルコール度数が大きく変わってくるので、自分好みのアレンジをみつけるのもモヒートの楽しみと言えるでしょう。
自宅でも楽しめる!美味しいモヒートの作り方
基本のレシピ
材料
・ミントの葉(適量)
・ライム(適量)
・ガムシロップ、もしくはブラウンシュガー
・ラム酒(30~60ml)
・炭酸水
・氷
作り方
1:グラスにミントの葉を入れて、バースプーンやすりこぎなどで軽くすりつぶす
2:カットしたライムの果汁をグラスに入れる
3:搾ったライムもグラスに入れてつぶす
4:ガムシロップ(ブラウンシュガー)とラム酒を注ぎ、氷をグラスいっぱいに詰め込む
5:炭酸水を注ぎ、全体を軽く混ぜる
美味しく作るコツ
1.よく冷やす
水っぽい仕上がりになるのを防ぐために、ラム酒、炭酸水はもちろん、グラスも冷蔵庫に入れてよく冷やしておきましょう。
また、氷が溶けてしまうと水っぽいモヒートになってしまいますので、可能であればコンビニやスーパー等で販売されている「純氷」を使うのがおすすめです。
2.ミントとライムをつぶしすぎない
ミントとライムを潰すことで、その独特な風味を楽しむモヒートですが、潰しすぎは禁物。ミントの茎やライムの皮から出てくる苦味は、モヒートの味わいを深くしてくれますが、苦味が強すぎるとエグみに感じてしまいます。
そのため、ミントとライムを潰す際は軽くつぶす程度にしましょう。
3.フレッシュなモヒートにはホワイト・ラムを使うのがおすすめ!
モヒートを作るときに使用するラムは、ホワイトラムが定番。
熟成させていないホワイトラムは、樽の香りがほとんどなくミントのフレッシュな爽快感を味わうのにはピッタリなんです。
もちろん、ゴールドラムを使用しての濃厚なモヒートが好きという方もいるかもしれませんが、ご自宅で初めてモヒートを作る初心者の方は、まずホワイトラムを試してみるのがおすすめですよ!
4.ミントの種類で異なる味わいを楽しむ
モヒートは、使用するミントによってその個性が大きく変化するカクテルです。
日本で広く用いられているのはスペアミント。キューバ原産のミントで、現地で主流な「イエルバ・ブエナ」に味わい・風味ともに似ているため、本格的なモヒートが楽しめます。
その他、使われるのは「ペパーミント」や「クールミント」。
ペパーミントで作ると、ミントの清涼感が強く感じられるような仕上がりになります。一方、クールミントは少し甘めなテイストのモヒートに。
それぞれ全く異なる印象のモヒートに仕上がりますので、好みのミントを探して試してみてください。
モヒートにおすすめのラム酒
バカルディ スペリオール
1862年にラム酒の製造を始めた、世界的に有名なブランド「バカルディ」。先述したように、モヒートが生まれたきっかけとなった、歴史的な1本です。
特徴的なコウモリのロゴは、健康・幸福・家族の団結といった意味合いを持っているのだとか。
バカルディにはゴールド、ホワイトどちらもありますが、フレッシュなモヒートを楽しみたいのであれば断然ホワイトがおすすめ。ラムの中でもクセが少ないクリアな味わいは、モヒートだけではなくあらゆるラムベースのカクテルに使用されれるほど。
モヒート誕生時の、オリジナルなレシピを確かめるためにも、一度はバカルディベースのモヒートを楽しんでほしいです。
ハバナクラブ
1878年、ホセ・アレチャバラによって設立され、1995年には国有化されたブランド「ハバナクラブ」。
現在、キューバ国内で飲まれているモヒートのベースはほとんどがハバナクラブなんだとか。
3年熟成により、オーク樽由来のスモーキーさやバニラ・チョコレートのような風味も感じられるプレミアムなホワイトラムは、モヒートの他キューバ由来のカクテル「ダイキリ」などでも用いられることが多いのだそう。
値段も1000円ほどで購入できるので気軽に手に取りやすい1本です。
マイヤーズラム プラチナホワイト
ダークラムで有名なジャマイカのブランド「マイヤーズ」が製造するホワイトラム「プラチナホワイト」。
厳選されたラムの原酒を、長年に渡り熟成するという「マイヤーズラム」の製法はそのままに、熟成後に濾過が施されるのが大きな特徴。これにより、マイヤーズが持つ風味や香りはそのままに、ライトな口当たりに仕上がっています。
ラム酒らしい甘くフルーティーな味わいながら、ライトなプラチナホワイトを使えば、ミントの個性がしっかりと感じられるフレッシュなモヒートが作れますよ!
キャプテンモルガン スパイスト ラム
大きく描かえた海賊の絵柄が印象的なラム「キャプテンモルガン」。17世紀に活躍した伝説の海賊ヘンリー・モーガンをモチーフに作られた1本です。
キャプテンモルガンは、香辛料等で香りつけされている「スパイスドラム」の中でも最も人気のあるラムの1つ。ゴールドラムに、果物やスパイス、さらにはバニラを加えた唯一無二の香り高さが特徴。
他のラムに比べて、甘く飲みやすいのでラム初心者のもおすすめできる1本です。
モヒートに使用すると、キャプテンモルガンの個性が大きく出た少し甘めで、バニラの香りがする個性的な1杯に仕上がります。
まとめ
甘さと爽やかさを同時に感じられるカクテル、モヒート。どんなラム酒を使うか、はたまたミントの種類や砂糖の量によっても、味わいが大きく変化するカクテルです。
様々なレシピやラム酒を試して、自分好みのモヒートを見つけてみてくださいね。